ぼったくりバーで図々しく稼げるタイプの人間

 

 

 諸事情あって半年ほど働いたメンズエステをやめて、ほぼ無職(週1のコンカフェがあるので完全に無職ではないが)になった。

 

 しかしそう簡単に定職は見つからない。かなり厳しい。しかし働き口はなくても、生きているだけでお金がかかるから、なんとか働かなければならない。

 今月末にも当然支払いはあるので、末締め翌月払いの給料では間に合わないから、日払いのバイトで繋ぐしかない。日払い制度のあるガールズバーで働こうと思い立った。

 

 なるべく体験入店はしておきたいので、体入ショコラで「ガールズバー 大阪 即日払い」を検索する。

 3件ヒットして、勤務条件の合いそうなところに連絡した。それが5日ほど前。しかし体験はおろか返信が返ってこなかった。しぶしぶ2番目に合いそうなところに連絡する。日払いあり。体入即払い。体験時給2000円。3日ほど前に昨日(5/13)を提案された。

 

 

 人当たりのいいお兄さんが面接を担当してくれた。夜職の経営者はめちゃくちゃ愛想が悪いかめちゃくちゃ愛想がいいかのほとんど二択だ。まあ結局はどちらも怪しい人であることには変わりはない。

 面接をした。体入ショコラには日払い制度があると書いていたが、実際に説明されたのは「末締め15日払い」だった。まあこういう嘘の条件は夜職あるあるなので、もはや気にすることもないが、15日払いでは今月末の支払いに間に合わないので、本入店はナシだなと思いながら、体験入店だけさせてもらうことにした。

 

 20時から待機して、23時半ぐらいにカップル客が来た。沖縄からの旅行客だった。

 働いている女の子は複数いたが、どの子も無愛想で、どう立ち回るべきかを何一つ指示を出されない。一般的に、指示待ち人間はダメだと言うが、さすがに体験入店のキャスト志望を放置するのはあまりよろしくないやろと思いながら、これまで働いてきたガールズバーやコンカフェでの経験を頼りに、それなりに振る舞った。

 0時半時ぐらいにもう1人若い男性客が来た。1時にカップル客が帰ったので、その後彼の卓に着くことになる。

 

 ガールズバーの怖いところは、女の子が無限にドリンクをねだるところだ。そして客も断りづらい。一番ボスっぽい女の子のペースに合わせて飲み、その子の交渉のおこぼれをもらう。

 男性客は途中からしきりに時間を気にしていた。自動延長制ではないと事前に言われているので、勝手にチャージを取られることはないが、それにしてもなかなか延長交渉が来ない。そしてその間にもボス女はドリンクをねだる。男性が断りづらくなるように、「もらうね」と言ってキャスト4人がバカスカ飲む。じゃんじゃん会計が膨らんでいく。

 

 痺れを切らした男性客が「今いくら?」と会計を聞いた頃には20万円を超えていた。わたしはさすがにゾッとした。男性客も驚いており、詳細について説明を受けるが、どう計算しても20万円を超える。伝票にはキャストドリンクがわたし含めて4人に10杯以上ずつついていた。

 とんだぼったくりバーだ。

 確かに延長交渉をせずにチャージがかからないようにしているけれど、しれっと長居させてキャストドリンクでぼったくる。悪質すぎると思った。しかも男性客がお金を下ろしにいっている間に、ボス女は「2杯ずつ4人分ぼったくったった」と言っていた。醜いしたり顔だった。

 結局、男性客は口座にもさほどお金が入っていなかったので、手元にあった6万だけその場で払い、残りの約15万は未収ということになった。その後は男性スタッフとの話し合いになっていたので、詳細はわからないけれど、どうにかこうにか払わせられるのだろう。キャッチについて行ったガールズバーで数時間飲むだけで15万円の借金を着せられる男性客を見て、本当にいたたまれない気持ちになった。

 

 こんなところにいては、人間としておしまいになると思った。こんなにも平然とぼったくる店にはいられない。良心が痛むどころの話ではない。

 今まで何件もガールズバーやコンカフェで働いてきたけれど、こんなにぼったくる店に当たるのは初めてだったので、とにかく驚いた。コンカフェは優良店が多いのだなとしみじみ実感した。一生コンカフェ嬢がいいよ〜(泣)

 

 一刻も早く逃げようと思い、上がりたい旨を伝えた。もちろん給料は忘れずに。

 5000円を手渡された。やはり体験時給2000円も嘘だった。待機カットがあったとしても(そもそも言われてすらいないが)、4時間は働いた。「残りのバックは本入店してからの最初の給料日でお渡しします」という、体験入店あるあるの絶対にキャスト志望を逃さない作戦が来て、もうこれに関してはハイハイという感じで流した。

 「次いつ来ますか?」と聞かれたので、「また週末ぐらいにご連絡します」と答え、LINEを交換した。もちろんそんな週末はない。

 

 こちらからすればとんだぼったくりバーであったが、向こうからすればとんだ体入荒らしだろう。わたしはぼったくりバーで図々しく稼げるタイプの人間ではない。ボス女の醜いしたり顔を思い出した。