喫茶店を愛しているという気持ち

 

 

 

 今日は喫茶店バイトの4日目だった。 

 わたしの働いている喫茶店はとにかくランチタイムが忙しい。しっかり食べ応えのあるプレートにスープとドリンク付きで990円。他にもサンドイッチやオムライスやナポリタンやケーキやパフェなど、喫茶店らしいメニューはほとんどある。もちろんクリームソーダもある。なぜかクラフトビールもある(瓶ビール・缶ビールがある喫茶店はたまにあるけれど)。

 コスパがいいこと、そして近隣に喫煙可能な飲食店があまりないことから、平日はサラリーマンやOL、土日はなんば周辺に遊びにきた人でいっぱいになる。

 

 

 飲食店の忙しさとADHDは相性が悪い。ADHDは、一をやろうとすれば十をだめにする生き物だ。

 学生時代の飲食バイト歴が長かったからか、「仕事覚えるの早いなあ」「まだ4日目やんな?」とは言ってもらえるが、店内が大忙しになるとポンコツになる。頭が真っ白になってその場でうろうろしたり、脳内を整理するために一人でぼそぼそ呟いていたりするので、側から見たわたしは本当に変だと思う。

 

 毎日40分前出勤(煙草を吸う時間の確保のためではあるが)をしていて、しかも「やる気満々です!」みたいな顔と声をしているので、自ら信用のハードルを上げにいっている気がする。真面目にやろうと意気込んだあまりに、図らずしも「期待の新人」感を演出してしまっている。

 一方で、例えばお客様の顔面にめがけてアチアチのコーヒーをぶちまけるとか、下げものをしたお盆をすべてひっくり返してめちゃくちゃにするとか、そういう破壊的な妄想の強迫が止まらない。いつかその妄想の通りに手が動いてしまうんじゃないかと毎日びくびくしている。

 

 

 人間関係の調子はわりといい。やはり喫煙可能店ということでスタッフのほとんどが喫煙者で、いつでも喫煙所コミュニティにいるような感覚がある。変なイキリ大学生とか、意識高い系フリーターとかがいなくて本当に助かった。ムカついて殺してしまうから。

 店長のおじさんはいつも機嫌が悪そうな顔をしていて、話しかけるときはいつもおどおどしてしまうのだけれど、店長は実は大の酒飲みで、あの機嫌の悪そうな顔はだいたい二日酔いだということを今日知った。みんなが「お父さん」と呼ぶ理由がなんとなくわかった。

 

 ただ、今日はひとり寝坊してきたスタッフがいて、その人は週1しかシフトに入らない上にほとんどの確率で遅刻や欠勤をするらしいのだけれど、その背景もあってか、喫煙所コミュニティ感のある和やかなみなさんが、その人に対してだけはめちゃくちゃ冷たくて怖かった。

 わたしも遅刻したらあんな感じに扱われるのだろうな、と思うと、自身の”時間感覚の欠如”という特性をよく理解して、毎日40分前出勤を心がけているわたしは正解なのだろう。喫煙者であることによって助かる命があります。

 

 

 今日はなぜか先輩が大量の缶ビールを持ち込んでいて、退勤後に同じシフトのみなさんで飲んだ。酒飲みばかりで会話もおもしろい。退勤後にお酒が飲みたい人は各自持ち込んでいいらしい。なんだそれは。

 あとたまに失敗したオムライスや焼きすぎたハンバーグ、賞味期限が近いケーキなどを店内が暇なときに食べさせてくれるのもうれしい。そしてドリンクは何でも飲み放題なのもうれしい。店内の忙しさが落ち着いたら煙草休憩を取っていいのもうれしい。

 本当にこんな職場に恵まれてしまっていいのだろうか。こんな労働環境、いったい働きに来てるのか遊びに来てるのかがわからなくなる。

 

 

 という感じで最近はかなり調子のいい日が続いている。わたしは、飲食店で働くと客に殺意が湧くタイプ(易刺激性)なので、喫茶店を愛しているという気持ちが、このままそれをカバーしてくれることを願う。

 みんな遊びにきてね。DMをいただければ店名とシフトを教えます。