デカ愛ちゃん社会人編

 

 

 デカ愛ちゃん社会人編のスタートから約1週間が経った。

 まだ1週間しか経っていないので、社会人とは何たるかを完全に理解したわけではないけれど、確かに社会人になると1週間が過ぎるスピードが早い。あっという間に年を取りそうだ。特に土日の2日間は本当に一瞬のようだった。みんなが土日を大好きな理由がわかった。

 

 社会人のいちばんよいところは、収入が安定しているところだ。わたしはこれまでのアルバイトがほとんどずっと夜職だったので、収入が不安定で、とにかく週6~7でシフトを入れまくることで貧困を回避していたのだけれど、社会人は固定給だから週6~7も働く必要はない(半年の試用期間が終わればおそらく休日出勤はあると思う)。

 閑散期にお茶を引くだとか、シフトをカットされるだとか、そういう心配がない。休日を設けることに収入が減るという不安をおぼえなくていい。欠勤さえしなければ、まあ生活はできるかなぐらいのお金をもらえる。

 しかもわたしはクソザコ夜職バイトだったから、収入が極端に下がるわけではない。繁忙期に比べれば稼ぎは少なくなるが、閑散期に比べればむしろ昼職のほうが多いぐらいだ。

 

 働いたら働いた分だけ賃金が発生することのありがたみは大きい。

 それが結構メンタルの安定に繋がっていて、ここ数年で今がいちばん精神的に安定しているように感じる。財布の不安は心の不安なのだなとつくづく実感している。

 収入とメンタルの安定度が比例するタイプの人は、夜職よりも昼職の方が向いていると思う。もしくは月額固定のパパ活。まあでもパパ活は水商売と同じく繋ぎ止めることに気力を持っていかれるだろうし、それなら毎日とにかく出社だけはしておくほうがマシだとわたしは思う。客の意思はコントロールできないけれど、自分の肉体を会社に向かわせることはできる。

 

 

 

 業種はざっくり言うと建築や店舗ディスプレイなどを扱う仕事だ。絶賛見習い中なので、この先どんなことが自分の仕事になるのかよくわかっていない。まあでも謎にやる気だけはある。

 多くの社員が3年ぐらいで辞めるらしい。これに関してはこの会社がヤバいのか、業界がヤバいのか、もしくはどちらもなのか、この身で実験してみようと思う。わたしはもうとにかく逆張りオタクなので、なるべくやめないようにしていきたい。

 

 友人らには、「美術とは全然関係ない仕事に就いたね」と言われる。「もったいない」とも言われる。でもわたしはこれで正しかったと思う。美術やデザインの仕事をしていたら、仕事がうまくいかなかったりすると、アイデンティティが揺らいで、自尊心が傷ついてしまっていたかもしれないからだ。

 ただでさえ精神的に安定して暮らすことに難がある属性なので、アイデンティティに直結しない仕事を選んだほうが、長い目で見ればうまくやっていけるような気がする。

 今のところはこれが最善策だっただろうと思うし、これを本当の最善策にするのはこれからのわたしだ。なんとかやっていきたい。

 

 

 

 あと、ごはんをめちゃくちゃ食べるようになった。朝昼晩しっかり1日3食、これまでより1.5倍ぐらい食べるようになっている。どちらかというとデスクワークではないがゆえにそれなりに体力を使うからなのか、労働時間に拘束されていることへのストレス反応なのかはわからないけれど、本当に食欲が止まらない。肉がうますぎる。

 しかし、入社直後の健康診断で体重を測ったところ、とんでもない数値を叩き出していたので、毎週日曜日にジムに行くことにした。お手帳パワーで市立体育館のジムがタダで使えるというのだ。使えるものはドシドシ使っていく。大阪市、ありがとう……。

 

 土日が休みだと、土曜日は他人との予定を入れて、日曜日は自分のために使うという休日の使い分けができて嬉しい。

 夜職の頃は1日休んだだけで不安になっていたので、こんなにも清々しい気持ちで休んでもいいのかと驚く。しかも学生の頃は変に意識だけが高く、常に何かをインプットしたりアウトプットしたりしなければならないという強迫観念に駆られており、週1の休みを寝潰して終えた日には、何も生産的なことをしていないことへの罪悪感でたまらなくなっていたのだが、それがなくなった。休みの過ごし方が完全に自由になった。これからは、作りたいときに作ればいいし、寝たいときに寝ればいい。最高である。

 

 

 

 こんな感じで、デカ愛ちゃん社会人編は順調に進んでいる。今のところはパワハラ・セクハラ上司はいないどころか、上司も事務員さんも取引先の人も、みんな親切でいい人だ。週末には歓迎会を開いてもらえる。なるべく長く楽しくやっていきたい。