すべて崩れてしまう気がする

 

 

 原付免許の学科試験のために深夜3時まで起きていたので、7時おきはつらかった。それでも就労のためには一刻も早く身分証が必要なので、電車とバスで1時間ほどかけて、免許センターに行った。

 

 結論から言うと、受付で追い返されたため、免許は取れなかった。

 持ってきた住民票に本籍地が書かれていなかったのだ。そんな落とし穴があるのかよ、と思った。役所で「本籍地入り」を申告しないと、本籍地は書かれないらしい。この世は、まだまだわたしの知らないことだらけだ。

 本当につらい。ようやく無職も終わって、今日からチャトレで働けると思っていた。明日、明後日は土日なので、免許センターは開いていない。明日も明後日も何もできない。とにかく苦しい。自分の鈍臭さで自分の人生をダメにしつづけている。いつまでこんなことをやるんだろう。

 

 免許場の前に1軒だけ喫茶店があったのが救いだった。おじさんの客がひとりごとをぶつぶつ言いながら新聞を読んでいる。人生がどれだけつらくても、煙草は吸える。なるべく節約したいので、吸うべきではないのだけれど、これすらもできなくなったら、今いろいろ踏みとどまっているものがすべて崩れてしまう気がする。

 1時間ほどくつろいで、バスの時間が近いので席を立つ。ママに「免許取りにきたん?お疲れ様」と言われて、取り繕っても仕方がないので、「取りに来たんですけど、書類に不備があって、追い返されました」と言った。「あら大変やね」とママが言った。「また取り直しに来るので、そのときはまたお邪魔します」と言って、店を出た。

 

 

 今日も、往路とは違う道で帰る。大阪メトロは大阪市内外を繋いでいるからすごいと思う。地下鉄なので車窓からの景色は見えないけれど、アナウンスで知らない駅名が聞こえるとうれしかった。

 区役所の最寄り駅で降りる。本籍地入りの住民票のリベンジを果たす。受け取るときに「本籍地」の欄を5度見ぐらいした。これで免許が取れる。

 無事に取得して、雨の中を歩いて帰る。雨は嫌いだ。傘が鬱陶しいし、濡れて不快だし、低気圧で気分が重い。外に出ても家にいてもしんどい。何もいいことがない。もうすぐ梅雨が来る。

 

 

 

 バンドマンの友達からジャケ写の依頼があったので、久しぶりにペンタブを引っ張り出した。今日はあまり気乗りがしないのだけれど、かと言ってほかにやることもない。なるべく早く納品したほうが喜ばれるので、とりあえずカメラロールからあるだけの素材を探した。

 音楽と歌詞からイメージしたものを描いてほしいと言われていたのだが、途中までできたものが全然そんな感じじゃなくて、やっぱり気乗りがしないで描くとこうなるよな、と思った。今日は何をやってもうまくいかない。まあでもそういう日もある。

 

 途中で2時間の昼寝を挟んだ。起きて再度描きはじめて、とりあえず最後まで描いてみたが、やっぱりイメージとは全然違っていて、そうなると細部まで描き込むのも面倒になって、もうこれは落書きということにした。

 

 

 

 雨のせいか気分が重い。何もしたくない。どうしてこんなにもうまくいかないんだろう。

 派遣の抽選は落ちまくる。タイミーは資格がないものばかり。面接に進めそうな企業からは返信がない。やっと確定したラーメン屋のバイトは6月までシフトに入れない。最終手段としての夜職も身分証ではねられる。

 全然うまくいかない。後ろ向きでいても仕方がないとは思うけれど、これだけ立て続けにうまくいかないとなると、嫌でも落ち込んでしまう。

 そういう日はもう早く寝るに限る。幸い、今日は寝不足だ。早いけど寝よう。でも、早く寝たら早起きしてしまう。するとまたどうしようもない明日が始まる。人間は、苦しみから逃げるためには、どうすればいいのだろう。逃げるべきではないのだろうか。