都会としての格のちがいを見せつけられた(東京旅行記 1日目)

 

 

 東京に行く前に、大阪のフォロワーのコンカフェに行こう!と意気込んで早めに家を出たつもりが、時刻表を見るとどうもコンカフェどころかふつうに間に合うかも怪しい時間だった。

 なんとか新宿行きのバスにのった。この時期の新幹線は全席指定になるので、ちょっといい夜行バスに乗ってもおつりがくる。しかも新幹線に乗ると昼間の2時間半を移動についやしてしまうが、夜行バスだと寝ている間に移動できるので非常によい。ちゃんと寝れたらの話だが………。

 バスの中で「そういえば宿ってどこだっけな」とメールを確認すると、「ご宿泊前日のご案内」が2箇所のホテルからきていた。びっくりした。宿を2つ予約していた。身体は1つしかないのに、寝るところが2つある。焦って片方を予約キャンセルして、キャンセル料の支払いに同意する。しかしこれが大きなまちがいで、もう片方の宿はキャンセル料がかからなかったということにあとから気づいた。しかも、キャンセルしたほうの宿は23区内、泊まることが確定したほうの宿は府中市。わざわざお金を払って遠いホテルを選んでしまった。どうして……。

 

 こんなかんじで、ADHDが丸出しのムーブをかましまくりながら、わたしの2泊3日の東京旅行ははじまった。

 

 

 お盆休み直前のためか首都高が渋滞しており、バスは予定よりも30分遅れの8:40頃に新宿についた。  わたしはわりと急いでいた。なぜなら、昨晩コンカフェにいくために準備を端折って、風呂をキャンセルしたからだ。結局、コンカフェにも行けていないし風呂にも入ってないという、惨めで汚いADHDがうまれてしまった。

 つまり新宿周辺のネカフェでシャワーを浴びなければならない。そして1発目の予定は10:00からで、準備に1時間かかるため移動時間を換算すればほんとうにあぶない。

 

 なんとかぎりぎり間に合って、1発目の予定ことネイルサロンに飛び込んだ。なんと東京旅行2日前に爪が折れ、直前に平日晩で空いているネイルサロンがあるわけもなく、じゃあもう東京に着いてからやろうということになった。変すぎる。

 担当のネイリストさんは韓国の人っぽかった。おそらくすべてのスタッフが韓国の人。大阪では美容系のお店に行っても外国の店員さんはそこまで見かけないので(わたしが知らないだけかもしれないか)、東京はもうこんなふうになっているのか……と驚いた。

 

 

 ネイルをちゅるちゅるにしてもらったので、1人目のフォロワーと待ち合わせた。新宿の「cafe terrasse シルエット」という喫茶店

 今日は1日が長いのと、東京も大阪とおなじく街中にトイレがないので、おしっこに行きたくなりまくっては困るということで、カフェインはなるべく控えた。マンゴーアイスティーを注文した。

 うだうだと喫煙をしていたらフォロワーが来てくれた。彼女もマンゴーアイスティーを注文した。あとわたしは昨晩19:30にそうめんを食べてからなにも口にしていなかったので、元から食いしん坊なこともあってぺこぺこだったため、パスタも注文した。フォロワーも食事に付き合ってくれた。

 

 すごくわたしを好きでいてくれるフォロワーで、(とても失礼だが)世間をうがった目で見てしまうときのアンテナが非常に似ている。終始「ツイッターのこういうところが嫌だよね」という話をした。あまりにも会話がインターネットだった。

 本来は新宿三丁目の「カフェ アルル」という猫ちゃんのいる動物愛護団体に凸られたらおしまいの喫茶店に行く約束だったので、向かう。新宿って歩いても歩いても新宿ですごすぎる。同じ「新宿」の名を冠する駅でもこんなにも遠いのか。

 酷暑に抗いつつ、わたしのパートナーの惚気を聞いてもらいながら歩いたが、お店に着いたら満席だった。やはり人気店らしいので、よく満席になるらしい。そして大変なことに気づいたのだが、いまから引き返してもわたしのつぎの予定に遅刻する時間だった。どういうこと?

 パートナーの惚気を再開しつつ歩いて、山手線の新宿駅まで案内してもらった。彼女はこれからたまごっちのグッズを買いに行くと言っていた。改札前で解散した。

 

 

 つぎは大森に向かう。大森なんてこれまで用事がなかったので、未踏の地の喫茶店開拓にわくわくした。

 「喫茶ローズ」という麻雀ができる喫茶店に連れてきてもらった。マンションの1階にある謎の喫茶店で、これは1人で行くのはさすがのおひとり様に慣れっこのわたしでも勇気がいると思った。

 彼とは1年前にもお会いしたことがあって、相変わらずユーモラスで話上手でたのしませてもらった。一方わたしは夜行バスであまり眠れなかったことがわざわいして、せっかく貴重なお時間をいただいているというのに、眠気にあらがうことで精一杯で、ほとんどの話題を彼が提供してくれた。ほんとうに申し訳ない……。

 

 つぎの予定はどこだったかと約束していたフォロワーのDMを見ようとするも、どこにも見当たらない。もしかしてと思ってアカウント名で検索しても出てこない。ブロックされていた。

 彼女はインターネット上の距離の詰め方がちょっと変だな、と思っていたけど、まあわたしを好きでいてくれるからには会ってみたいと思ったので約束をしたわけだが、まさかブロックされているとは思ってもみなかった。

 いや、ブロックされること自体はべつにかまわない。バカデカい愛さんがいやになったらいつでも離れてほしいと全フォロワーに思っている。しかし、はるばる大阪から東京にきて、ほかにも会いたいと言ってくれている人を時間が足りずにお断りしてまで時間を空けていたのに、それをフェードアウトで済ますなんて、人間としてどうかしているだろう。

 こういう一般化はほんとうによくないが、他人との距離感の詰め方がちょっとおかしい人は、やっぱり人格に難がある傾向にあるなとあらためて実感した。なんなら「会いたいです」と言ってくれたのは向こうのほうだったのに、どうしてこんなことに……。

 自分の常識と他人の常識はちがうとつねづね割り切っているつもりだが、さすがにこればかりはムカついた。ほかにも会いたいと言ってくれたのにお断りせざるを得なかったフォロワーたちにも申し訳ない。こんなやつでもまっとうなふりをしていれば社会を生きていけるのだなあ。

 

 

 「喫茶ローズ」でごいっしょしてくれているフォロワーが、今日は休みなので付き合いますよと言ってくれて、恵比寿の「喫茶 銀座」に移動した。

 しかし眠気が限界すぎる。ほどほどに話して、つぎの予定は渋谷なので、渋谷のネカフェで一旦休むことにした。身勝手に振り回してもニコニコゆるしてくれて、ほんとうにたすかった。わたしは人に恵まれているなあと思う。

 

 渋谷での予定は、Galileo GalileiBaseBallBearの対バンだった。ネカフェで1時間ほど休んで、ライブハウスに向かった。わたしは開演ギリギリに行ってうしろのほうで見るのが好きなタイプなので、開演5分前に着いた。そもそも待つのがきらいだし、ライブハウスはむしろ前方にいるとそこから近いアンプの音に偏るので、うしろのほうはまだ分散される(気がする)し、音楽を聴きに行っているのだからべつに演者の顔が見えなくてもよい。

 Galileo GalileiBaseBallBearも、小学生の頃から好きなバンドだ。ハマった当時はかなりのキモ・オタクで、どちらも「おおきく振りかぶって」というアニメの主題歌だったことで知ったのだが、そのままなぜか路線が変わって音楽のオタクになって、音楽を聴くうえでの感性の根幹になった。

 特にGalileo Galileiはこの人生でいちばん愛しているバンドで、小学生のころから東名阪ツアーの大阪には毎回足をはこんでいる。一度は活動を終了して最近復活してくれたのだが、彼らがあたらしい音楽を鳴らしていない間にも、彼らの音楽を聴きつづけた。

 そしてBaseBallBearは、中学生のころに学校にこっそりiPodを持ち込んで、通学中にずっと聴いていた。初期の彼らはとにかく理想の青春を懐古(捏造?)しまくるバンドで、いい意味でとてもキモかった。制服、プールサイド、檸檬、転校生などのワードがどの曲にもしつこいぐらいに登場するキモさが、芋臭くて垢抜けない中学生として生きているわたしのコンプレックスに刺さってたまらなかった。

 

 何よりも感動的なのが、Galileo Galileiがバンドとしてデビューするきっかけとなった若手バンドの登竜門バトルの審査員がBaseBallBearだったという、ファンからしてみれば夢のような対バンなのだ。

 そんな10年以上聴いているバンドの対バンなんて行くしかなかった。無事にチケットも当選してよかった。

 わたしはライブハウスに行くたびにほかの客に何かムカついて帰ってくるという習性にあるのだが(今回ももれなくそうで、わたしより2~3列前はそれなりに観客と観客のあいだにスペースが空いているのに、そこを詰めないアホタレたちのせいでわたしがいる出入口付近はほとんど身動きが取れないほどにぎゅうぎゅう詰めだった)、それを抜きにしてもいいライブだった。お互いがお互いの初期の曲をコピーするという最高の瞬間に立ち会えた。節約暮らしをして貧しいながらにお金をかけてきてよかった。

 転換中に緊急地震速報が鳴った。神奈川のほうで震度4を観測したらしい。つい先日、九州のほうで南海トラフ地震の発生率が高まる地震があって、わたしが東京にいる間に大阪が壊滅しておうちに帰れなくなったらどうしようという心配をしていたのだが、まさかこちらが揺れるとは思わなかった。こちらは南海トラフとは無関係の地震だったが、どうも活断層関東大震災と同じものということらしく、どちらにせよ懸念は増えるばかりだ。無事に帰れるといいな。

 

 

 昼頃からどうしても二郎系ラーメンが食べたい気分だったのだが、終演後の時間では評判のいい店舗はどこも空いていないということで、近くの「まぜそば 渋谷 チョップス」という二郎系インスパイアに駆け込んだ。

 正直まあそんなに好みではなかった。麺の小麦感も理想よりははるかに弱く、タレの醤油のパンチも弱い。ジェネリックジェネリックだなあと思った。  ただ、味変として用意されているチョップスを入れるのはそれなりによかった。マヨネーズと青のりの風味が強いなつかしい駄菓子のようなチップスを入れると、味がややジャンキーになった。そういうタイプの二郎系インスパイアはあまり見かけないので(オニオンフライなんかはよくあるが)、斬新だった。

 

 

 お腹も満たしたことなので、東府中の宿に向かうとする。京王線で40分程度ということで、まあどこかのタイミングで座れるだろうと高をくくっていたのだが、東京は恐ろしい街で、22:30ころにもかかわらず満員電車だった。大阪では40分も行けば、ラッシュ時以外はどこかで座れる。都会としての格のちがいを見せつけられた。やはりわたしは東京には住めない……。

 ホテルにチェックインして、一服。都内は禁煙のカプセルホテルばかりで、個室で喫煙可能なビジネスホテルをさがすのは難しい。都心でそのようなホテルとなると、1泊だけで2万円以上する。さすがにそんなよゆうはない。というわけで、満員電車にゆられながら都心から離れたところを選ぶほかはなかった。しかしやはり個室の喫煙可能となると居心地がいい。裸で歩き回ったり煙草を吸ったりしても誰にも文句を言われない。距離は遠いがここを選んでよかった。

 

 適当にネットサーフィンをして、だらだらと寝る準備をして、1:00に就寝。なんやかんや休日のほうが夜更かしをしてしまうし、休日のほうが朝早くから活動するので、平日よりもつかれる。

 あしたはフォロワーに会うためだけの日だ。誰にもブロックされていないといいな……。